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陶彩画『天空のゆりかご』から…

by ありさA.risa

【ほんとうに、そうなの?】

少女がいました。
なにを見ても美しく
なにをしても楽しくて
少女はいつも、そのとき
そのときを存分に味わいました。

「こんにちは。」
ある日、少女は、人を集めて
説教をしている男に会いました。

「この世で一番大切なのは、成功することだ。成功とはカネをもうけることだ。うんとえらい人間になることだ。
人はそういう人間を尊敬するものだ」

少女は目をまるくしてたずねました。

「ねえ、ほうとうにそうなの? 
ねえ、えらい人って
お金持ちの人のこと?
おじさんの魂は
お金が増えると輝くの?」

男は困りました。そんなことを
一度も考えたことがなかったからです。

ある日少女は赤んぼうを連れた
若い母親に会いました。
母親はとても疲れているようでした。

「毎日、毎日赤ん坊の世話ばかり。
もううんざりだわ。
これじゃ生きてる意味なんてないわ」
吐き捨てるように言いました。

赤ん坊は、途端に大声で
泣き始めました。

「ねえ、ほんとうにそうなの?
この子を産んだときも、やっぱり
生きてる意味がないと思ったの?」

母親はハッとして
赤ん坊を抱きしめました。

「ごめんね。
せっかく生まれてきてくれたのに」

すると赤ん坊は、母親の腕の中で
安心した顔で眠りに落ちました。
母親の顔もおおだやかになりました。

少女はふたりが光りに
包まれたのを見て
ふわりと空へ駆けていきました。

尊敬する大好きな草場一壽先生の

陶彩画『天空のゆりかご』から…


ありさA.risa
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